葬儀や法要の対応が一段落ついたら、次に取り組まねばならないのが「遺品整理」です。遺品を整理する機会は人生でほとんどありません。実際に行うときにとまどってしまうことが多いでしょう。
今回の記事では遺品整理の方法や注意点、専門業者に依頼するときに気をつけるポイントをご紹介します。
遺品整理とは
遺品整理とは、故人が生前に使っていた物を整理することです。家具や洋服、書籍など故人が所有し、日常的に使っていた物であればすべて「遺品」と呼ばれます。大切なものや残しておきたいものを家族や親戚に形見分けして、不要なものは処分しましょう。
では、なぜ遺品整理をする必要があるのでしょうか。
それは、故人が住んでいた住居の引き渡しなど、相続財産を明らかにするという目的がありますが、ご遺族が気持ちを落ち着けたり、故人に対する悲しみや寂しさと向き合ったりするための時間でもあるのです。
故人との思い出がよみがえり、受け入れがたく感じるかもしれません。決してひとりで取り組まず、家族や親戚と声を掛け合いながら進めていきましょう。
遺品整理では何をすればいい?
遺品整理では、一般的に「貴重品の整理」「再利用できるもの」「処分するもの」を仕分けます。
遺品整理をするのに、決まったタイミングや正解はありません。葬儀を終え、四十九日など区切りがよく、親族が一同に集まるタイミングで遺品を仕分けするのが一般的です。
遺品整理の具体的な手順は別項目で解説していますので、合わせてご覧ください。
遺品整理の5ステップ
それでは具体的にどのように遺品整理を進めていけばいいのでしょうか。
こちらの項目では5つのステップに沿って、遺品整理を進める手順について解説します。
貴重品を整理する
まず、遺品整理に取りかかる前に確認しておきたいのが「遺言書」の有無です。
遺言書とは、故人が自分の財産の分け方などに関することを書いた書面のことで、民法で定められた方式で作成された「公正証書遺言」であれば、法的拘束力を持ちます。
また、「公正証書遺言」以外の遺言で封筒等に入れられて封印がなされているものは、家庭裁判所で相続人またはその代理人立会いのもとで開封しなければならないと法律で定めらています。
もし、「公正証書遺言」以外の遺言書を勝手に開封した場合は、5万円以下の過料に処される場合がありますので、もし遺言書をみつけたら、絶対に開封しないようにしましょう。
遺言書には故人の意思・考え方が記されています。まず、遺言書の有無を確認して、遺言書が有る場合は遺言書の内容を尊重しながら整理を進めていく必要があります。
まずは「貴重品」の整理からです。貴重品の例としては、以下が挙げられます。
- 通帳
- 印鑑
- 公共料金等の請求書や領収書
- クレジットカード(またはキャッシュカード)
- マイナンバーカード
- 有価証券や不動産関係の書類
- 各種契約書類
- 貴金属など
整理するにあたって法的な手続きが必要な物もあります。期日が定められている場合も多いので、貴重品の確認/仕分けから取りかかるのが無難です。特に注意すべき貴重品は以下が挙げられます。
- パスポート
- 運転免許証
- 年金手帳
- 健康保険証
個人情報が関係する貴重品については、家族や親族としっかり話し合ったうえで手続きしましょう。
形見になるものを選ぶ
次に、形見となりそうなものを仕分けし、家族や親族で分け合います。
どんな物を形見として残しておくかは家族や親族が決めること。生前とても大切にしていた愛用品、洋服、書籍、写真など、大事に残しておきたいものは貴重品として早めに選り分けておきましょう。
勝手に決めてしまうと、家族や親族間のトラブルになってしまう場合もあるので、慎重に話し合いながら進めることをおすすめします。
再利用できるものを分ける
まだ使えそうな洋服や家具、家電などは、再利用品としてリサイクルショップに引き取ってもらう方法もあります。
処分するのにどうしても躊躇してしまう場合は、再利用という方法を考えてみましょう。
処分する
再利用のできない不用品については、思い切って処分しましょう。
心の負担は大きい場合は、神社や専門業者に頼んで供養してもらう方法もあります。量が多い場合は現場供養(自宅で行う供養)、少量の場合は合同供養(神社などに持ち込み、他の遺品とともに行う供養)を選ぶのが一般的です。
遺品を処分するときに、おすすめしたいのが写真や日記、故人直筆の手紙などはできるだけ残しておくこと。データとして保存するのもできますが、いつ想定外のことが起こって消えてしまうかわかりません。少量でも手元に残しておくことをおすすめします。
捨てられないものは残す
処分に迷うものは整理するタイミングは今ではないのかもしれません。
あえて「保留」して、もう少し時が経つのを待つ、もしくは他の家族に相談するなど、気持ちを落ち着かせる時間を確保しましょう。
遺品整理は業者に頼んでもいい?
デリケートな判断が伴うため、とても時間がかかるのが遺品整理。
何日かに分けて少しずつ進められる環境であれば問題ありませんが、住居の引き渡しなどによっては早めに終わらせなければならないときもあるでしょう。
個人の手に余るようであれば、遺品整理をする専門業者に依頼するのもひとつの方法です。
こちらの項目では、業者に遺品整理を依頼するときのメリット/デメリットと、注意点について解説します。
業者に頼むメリット/デメリット
専門業者に遺品整理を頼むメリットとして、主に以下が挙げられます。
- 素人が進めるよりも早く的確に終わる
- 資格があり経験も豊富な専門家に頼むことで、安心できる
- 忙しくて着手できない、または遠方でなかなか来られないときにも便利
量が多くなかなか終わらない場合も、資格を持つ専門業者が丁寧かつ迅速に対応してくれます。
その分、費用がかかってしまうのがデメリットです。間取りや遺品の量によっても相場に差が出てくるので、依頼する場合は事前に見積を取りましょう。大体の相場は以下のとおりです。
引用:遺品の意味とは?遺品整理の方法や遺品整理業者の相場も紹介
業者に依頼する際に気をつけること
遺品整理というデリケートな作業だからこそ、丁寧に進めてくれる業者を選びたいですよね。
サービス内容やかかる費用、具体的な手順は業者によって千差万別。電話相談や見積を取るときの対応をしっかり確認し、親身に取り組んでもらえそうか判断しましょう。
中には「遺品供養士」と呼ばれる有資格者がいる会社もあります。遺品の供養にあたっての知識や経験を持っているため、事前に確認するのをおすすめします。
遺品整理で注意することは?
最後に、遺品整理を進めるにあたって注意しなければならない点を解説します。
親族に配慮する
遺品整理には、遺産相続に関する書類や貴重品の処分の判断が求められます。ひとりで進めてしまうと、後からトラブルに巻き込まれてしまうことも。お金に関する決めごとはとてもデリケートです。なるべく家族や親族とともに進めていくことをおすすめします。
書類や携帯などの個人情報に気を付ける
扱いに困るのが、個人情報が記載された書類やスマートフォン/PCなどのデジタル機器です。不要だと思える書類は、十分に確認した上で廃棄します。スマートフォン/PCなどのデジタル機器は、データを消去し、初期化した上で譲ったり売りに出したりするのが一般的です。
たとえ逝去後であっても、個人情報の扱いは慎重に行いましょう。遺品整理業者にお願いすれば、初期化から買取まで行ってくれる場合もあります。
期日がある書類は早めに提出する
通帳や年金手帳、パスポートなど、手続きするための期日がある書類も多数あります。特に通帳の処理に伴う銀行口座の扱いについては、すぐに着手しなければ口座ごと凍結してしまう可能性もあるため、注意が必要です。
詳しい手続きの手順については、自治体や銀行によって異なります。早めに役所や金融機関へ確認しておきましょう。
まとめ
遺品整理は身体的、精神的負担が大きく大変な作業です。余裕がなければ貴重品だけを整理して、残りは業者に頼むのもいいですね。注意点に気をつけつつ、自分のペースで遺品整理を行いましょう。