予期しないでき事に備える

生命保険は、事故や病気などによる人の生死に関して、給付金を受けとることができる保険のことをいいます。

生命保険契約とは、保険者と保険契約者の間で結ばれるものです。保険契約者が、決められた保険料を保険者に支払い、その対価として、契約内容に沿った事象が発生した場合、保険者が保険契約者に保険金などの支払いを行います。生命保険には、掛け捨て型の保険と貯蓄型の保険があります。

掛け捨て型とは

貯蓄型の生命保険と比較すると、掛け捨て型保険は保険料が安いのですが、保証される期間が一定の保険期間に限定されます。保険期間終了時の満期保険金がない上に、中途での解約返戻金はほとんどありません。それが「掛け捨て」といわれるゆえんです。

掛け捨て型保険の主なものは定期保険です。保険期間中保険金額が一定で変わらない定額タイプや、保険金額が減っていく逓減定期保険、保険金額が増えていく逓増定期保険があります。

貯蓄型とは

基本的に、貯蓄型の保険商品は保障と積立がセットになったものです。保険料に積立部分が含まれるため、掛け捨て型の保険商品に比べれば保険料は割高になります。貯蓄性のある生命保険の種類は、主に終身保険と養老保険です。

終身保険は一定期間保険料を払い込むと一生涯死亡保障が継続されますが、養老保険の死亡保障は保険料の払込期間に限定されます。

また、保険金や返戻金について見てみると、終身保険は一生の死亡保障があるかわりに満期保険金がない一方、養老保険は、被保険者が保険期間満了時に生存していた場合には、死亡保険金と同額の満期保険金を受け取ることができます。

生命保険は3つに分類できる

保険会社は、さまざまな生命保険を販売していますが、基本は「死亡保険」「生存保険」「混合保険」に分かれます。死亡保険は、被保険者が死亡するか、または高度障害になった場合に保険金が支払われるものです。死亡保険の例としては、定期保険と終身保険があげられます。

どんなタイプのものがあるのか

死亡保険の基本形は、定期保険と終身保険です。定期保険は、定められた保険期間中に、被保険者が死亡した場合と高度障害になった場合に保険金が支払われる商品です。特徴は、少ない保険料で高額の保障が受けられることです。ただし、保険料は掛け捨てで、満期保険金はありません。また、解約返戻金も期待できません。

終身保険は、保険期間を一生涯に設定した死亡保険です。保険料は定期保険よりも高くなっています。また、払い込んだ保険料総額よりもやや少ない金額の解約返戻金がもらえます。

なお、終身保険と定期保険をセットにした定期付き終身保険も死亡保険に分類されます。

定期保険の基本的なしくみ

定期保険は、保険期間中に、被保険者が死亡した場合と高度障害になった場合に保険金が支払われる商品です。

保険期間が決められていることから、「定期保険」という名前がつけられています。定期保険は、契約者全員が支払った掛け捨ての保険料を、実際に死亡した他の契約者への保険金支払いと、保険会社の事業運営費に充てるしくみになっています。そのため、保険会社に保険料が蓄積されることがありません。

このように定期保険は、契約者全員が支払った掛け捨ての保険料から保険金をまかなうしくみであるため、保険料を安くできるのです。

定期保険の保険料は、年齢や健康状態に応じて変わります。また、保険期間の長短によっても保険料が変動します。具体的には、保険期間が短いほど保険料が安くなります。ただ、定期保険は、保険料が掛け捨てで、満期保険金がありません。また解約返戻金も期待できません。その意味で養老保険や終身保険のような貯蓄性はありません。

終身保険の基本的なしくみ

終身保険は、死亡、高度障害の場合に保険金が受け取れる死亡保険で、保険期間が「一生涯」に設定された商品です。

終身保険は、必ず保険金を支払うしくみになっています。そのため、各契約者に支払う保険金を各契約者が支払った保険料でまかなうのが原則です。そのため定期保険と比べて保険料が高くなります。

終身保険は加入にあたって、定期保険ほど年齢などを問われません。支払われる保険金が払い込まれた保険料総額とほぼ同額であるため、保険会社のリスクが少ないからです。

終身保険と定期保険は、ともに死亡保険であるという点で共通していますが、異なる2つの特徴があります。

1つ目は、一度加入すれば、死亡するまで保障が継続し、保険金が必ず支払われることです。

2つ目は、保険料が高い反面、解約返戻金もそれなりに高いということです。

定期保険より保険料が高いのですが、払い込んだ保険料総額をやや下回る金額の解約返戻金が支払われます。その意味で、終身保険は貯蓄性が期待できる商品です。

積立利率変動型終身保険とは

積立利率変動型終身保険は、市場金利に連動して、積立利率が定期的に変動するタイプの終身保険です。

この商品のメリットは、市場金利が上昇すると、それに合わせて、保険金額や解約返戻金が増加し、得をすることです。反対に市場金利が下落すると、保険金額や解約返戻金が減少し、損をするリスクもあります。そうしたリスクを軽減するため、保険会社は、最低保障を用意しています。最低保障は、市場金利がどんなに下落しても、最低保障額(契約で決められた保険金と解約返戻金の額)以上の保険金、解約返戻金を支払うという制度です。終身保険と積立利率変動型終身保険の違いは、積立利率が変動するかどうかです。

利率変動型積立終身保険とは

利率変動型積立終身保険は、積立終身保険の積立金の利率が、定期的に見直され、変動する商品です。

この商品は、別名アカウント型保険、自由設計型保険と呼ばれます。積立利率変動型終身保険と似た名称ですが、その内容はまったく異なります。利率変動型積立終身保険は、この積立終身保険(払込期間中、将来に向けて保険料を積み立てていくもので死亡保障がないもの)をベースにした商品です。払込期間満了後に、終身保険へ移行する資金と異なる積立金の額が利率によって変動するのが特徴です。積立金の利率は、一定期間ごとに見直され、変動することになっています。

通常の終身保険とどう違うのか

両者は、保障の開始時期と積立利率が変動するかどうかの2点で異なります。通常の終身保険は、保険料の払込期間に被保険者が死亡した場合には、死亡保険金が支払われます。加えて、契約時に定めた積立金の利率が変動することはありません。

一方、利率変動型積立終身保険は、保険料の払込期間満了後に終身保険の保障が開始します。そのため、主契約だけの場合、被保険者が、保険料の払込期間中に死亡すると保障が受けられません。また、積立金の利率が定期的に見直され、変動します。

生命保険の配当や保険料控除

生命保険を契約するときには、保険契約者は被保険者と保険金受取人を決めます。

配当のしくみ

生命保険料は過去の統計をもとに、将来の保険金の支払いに充てる必要額を算出した予定率をもとに算出されています。

予定していた保険金の支払額と実際に支払われた保険金との差により剰余金が生じた場合に、契約者に分配される金銭のことを配当金といいます。

保険会社は、「予定利率」「予定死亡率」「予定事業費率」という将来予測に基づいて保険料を決定します。そのため、予測よりも実際の数値の方が好転した場合に、結果的に保険料を取り過ぎてしまうケースがでてきた場合、保険会社は取り過ぎた分を配当として契約者に還元します。

なお、生命保険には、有配当保険と無配当保険があり、無配当保険の場合には配当金はありません。しかし、無配当保険は、配当の分配がないため、有配当保険に比べ、保険料が安いというメリットがあります。

保険料によって所得税が軽減される

個人の場合、生命保険料、個人年金保険料、損害保険料はいずれも将来に備えての支出とみなされます。つまり、必要経費となるわけです。したがって、課税対象となる所得から控除されるのが原則です(生命保険控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除と言われます)。

所得控除の対象となるのは、その年の1月から12月までに支払った保険料です。日本は、4月から翌年3月までを年度といって経済・社会活動の大きな区切りにしますが、税金の場合は、暦年で計算します。保険料は、所得税、住民税ともに控除の対象となります。

控除を受けるには、確かに保険料を支払っているという証明が必要です。この証明になるのが、保険会社から毎年届くハガキです。10月~11月頃に届くハガキには、その時点までの払込保険料、年末まで契約を継続した場合の払込保険料が記載されているので、これを基に控除額を計算します。会社員の場合、年末調整で保険料についての控除の手続きを行います。

まとめ

生命保険は、自分や家族の生活を守るためのものです。事故や病気などによる人の生死に関して、給付金を受けとることができます。生命保険には、掛け捨て型の保険と貯蓄型の保険があります。

目的に応じた生命保険を選ぶことが大切になります。