もしも危篤の連絡が来たらあなたはどうしますか?突然の連絡でも困らないように事前に何をしたらよいかを知っておくことが必要です。

危篤を告げられたときの対応

遠方にいる家族には真っ先に連絡

「ここ数日が山かと思われます。会わせておきたい人がいらっしゃったら、いまのうちに声をかけておいてください」こんなふうに医師に告げられたら?あなたはどうしますか?

その場合は、まず真っ先に、その場にいない家族に連絡をとりましょう。遠方にいる場合は、駆け付けるまでに時間がかかります。場合によっては、仕事や家庭の段取りをつける必要もあるので、なるべく早めに声をかけることが大切です。

家族に連絡をとったあとは、親族や「生きているうちに会わせたてあげたい」と思う人に連絡をとりましょう。本人が特に親しくしていた友人を知っている場合は、その人たちが来てくれるかどうかは別にしても、声だけはかけるようにしましょう。離婚などにより、ずっと会っていない子どもにも、可能であれば生前に確認をとっておくとよいでしょう。できる限り、いま息を引き取ろうとしている人の気持ちに寄り添うことが、悔いのない別れ方につながります。

伝えたいことを確実に伝える

身内が危篤であることを連絡するときは、自分自身も気が動転している可能性があります。そんなときは、気を落ち着かせてから、現在(病院や自宅)の住所、来てほしいタイミング、連絡先などを正確に伝えましょう。

いつ亡くなるかわからないような差し迫っている状態のときは、まず電話で直接連絡をとり、そのあと、メールで住所や連絡先などを送ると確実です。

病院や親族などの対応などで忙しい場合は、ごく親しい人に連絡係の役割をお願いしましょう。そんなときのために、誰に連絡をすればいいのか、事前にメモやリストをつくっておくと安心です。

ご逝去に際してやるべきこと

病院で亡くなった場合

死亡を確認すると、医師から死亡診断書が手渡されます。死亡診断書は、死後の諸手続きに必要なものです。故人名、住所、生年月日などにまちがいがないか確認し、訂正があれば、その場ですぐに伝えるようにしましょう。

自宅で亡くなったときの対応

自宅でみとった場合は、かかりつけの医師か病院に連絡をして、すぐに自宅に呼び、死亡確認のあと、死亡診断書を発行してもらいます。一方、昨日まで元気だったのに朝起きたら布団の中で息を引き取っていた場合や自死など、予測のできない亡くなり方をした場合は、そのまますぐに警察に連絡をします。警察は現場の様子を確認後、警察の霊安所に搬送し、監察医により事件性があるかないかの判断と死因を特定し、「死体検案書」を発行してくれます。

自宅に遺体を安置するとき

清潔な場所で安置を

式場に遺体を安置する場合は、葬儀社が行いますが、自宅に遺体を安置する場合は、次のことに気を付けます。

①安置する場所の確保と清掃

弔問客が訪れる可能性がある場合は、人の出入りができる安置場所を確保します。さっと掃除機をかけるなど簡単な掃除をしてから安置するとよいでしょう。

②布団・枕を用意する

故人が使っていた布団と枕を用意し、故人を安置する場所に敷きます。遺体保存のためにドライアイスを置きますが、冷気を逃さないよう、布団は厚めのものが適当です。仏式は北枕といわれますが、あまりこだわる必要はありません。

③部屋の温度は低めに

遺体の腐敗を防ぐために、布団の中にドライアイスを入れますが、エアコンなどでなるべく部屋の温度を低めに保ち、日差しを防ぎましょう。

枕元に小さな祭壇をつくる

遺体の枕元に、小さな祭壇をつくりますが、これは葬儀社が行います。

①枕飾り

仏式の場合、香炉、線香、燭台、ろうそく、鈴、枕だんご、水、一膳飯、枕花を用意します。枕だんごや一膳飯、鈴は、慣習や宗派によって異なり、不要なこともあります。

②守り刀

浄土真宗以外の宗派では、魔よけの意味で、刃先を足のほうに向けるようにして、布団の上に刃物を置きます。

③神棚封じ

死の穢れが神棚に入り込まないためという意味から、白い半紙で神棚の正面を隠します。四十九日を過ぎたら、半紙をはがします。

仏壇の扉は閉じないで、いつもと同じようにお参りしてください。

あげたい葬儀をイメージする

葬儀の規模を決める

枕経をあげてもらい葬儀の日程をきめたら葬儀の規模を決定します。

最近では、エンディングノートを記入しているかたが増えてますのでもし、故人がかかれていた場合には

故人の希望する葬儀をしてあげることが好ましいでしょう。

エンディングノートについてはこちらをご覧ください。

①通常の葬儀

親族や仕事先、友人などに訃報を流し、その人の判断で来てもらう。

②家族葬

呼びたい人だけに声をかけ、ほかには知らせない。

③一日葬

通夜は行わず、火葬当日に親しい人たちだけで、告別式のみを行う。

④直葬

通夜・告別式は行わず、安置後、直接火葬に搬送し、火葬にする。

宗教をからめる、からめない

規模を決めると同時に、宗教を介した葬儀にするかどうかも決定します。現在日本で行われる葬儀の多くが仏式ですが、キリスト教のキリスト教式、神道の神式もあります。また都市部では宗教を介さず、故人の思い出話を語ったり生演奏を流したりなど、形式にとらわれない無宗教葬も広まりつつあります。

葬儀社の出す見積もり確認のチェックポイント

見積もりのメインは祭壇費用

葬儀社の出す見積もりのメインは、祭壇費用です。見積もりが出てきたら、祭壇費用に何が含まれているのかを確認しましょう。

祭壇費用に、葬儀の必需品(ひつぎ、骨つぼ、看板、写真、霊柩車などの車両関係)がすべて含まれていれば、費用負担は、この部分と考えてください。料理、返礼品、香典返しは、会葬者の人数によって金額が増減しますので、別途費用で計算されます。

日本では、会葬者が弔意を香典という形であらわします。親族や一般の会葬者の香典平均価格は、1人5000円~7000円といわれています。この金額で料理や返礼品、香典返しはまかなえるので、人数の増減があっても、負担額は変わりません。ですので、祭壇費用がまかなえれば、あとの負担については、あまり心配する必要はありません。むしろ、家族葬でお香典を辞退する場合は、葬儀費用の全額が負担になることを心得てください。

供花を祭壇周りにかためて華やかに

祭壇を決めるとき、式場の広さに見合った祭壇の大きさをすすめられることがありますが、祭壇が大きくなるとその分花を多く使うので、値段が上がります。そこで、親族や会社関係などから供花が多く届くことがわかっているときは、ワンランク小さな祭壇にして、その周りに供花をかため置くことで、華やかな祭壇をつくることが可能です。

供花は故人のために縁のあった人が供えるもので、葬儀費用として支払うものではありません。工夫しだいでお金をかけずに祭壇を華やかにすることもできるのです。

故人のイメージを投影する遺影選びを

故人らしい写真を3枚は選ぼう

遺影用の写真は、故人のイメージとして会葬者の心に刻み込まれる大切なものです。故人が気に入っていた写真があればそれを使うのがよいですが、特に何も聞いていない場合は、「この顔こそ故人らしい」と思える写真を3枚選びましょう。

遺影用の写真は小さい写真から拡大することが多いため、ぼやけて見えることもあります。葬儀社に預け、最も故人らしさが感じられるきれいな写真を拡大してもらいます。残りの写真は、どこかに飾っておくと、会葬者に懐かしんでもらえます。

死去した年齢にこだわらず選んで

遺影に使う写真は最近のものからと思いがちですが、病気になってからのものよりも、元気だったときの写真のほうが、故人らしさが引き立ちます。また、表情はいいけれど、背景や洋服がいまいち・・・という場合は、修整が可能なので、葬儀社に相談しましょう。写真はデジタルデータでない場合は、プリントでもかまいません。

*最近では元気なうちから遺影写真を撮る方が増えています。自分の写真を撮って綺麗に撮った写真を飾りたいという気持ちからフォトスタジオに足を運んだり自宅に出張してもらい撮影をするなど、または、自分の好きな場所に行って撮られるなど様々です。

せっかくなので、写真は記念写真の意味で1年おきに何かの記念日に撮るというようにするのもいいかもしれませんね。

故人の人生を回想できる葬儀に

大きく飾る遺影は1枚である必要はありません。故人の学生時代の写真、結婚当初の写真、新入社員のころの写真、定年後趣味を楽しんでいる写真など、何枚かを並べて、会葬者に故人を懐かしんでもらうのも一つの方法です。最近は、電飾遺影や液晶遺影などデジタル化され、明るく鮮明に映る遺影も見かけます。

死亡通知の出し方とタイミング

死亡通知はすべてが決まってから

葬儀社との打ち合わせで、さまざまな詳細が決まったら、故人の関係者に死亡通知を出して訃報を告知します。死亡通知は葬儀社が用意してくれるので、友人や勤務先、町内会、サークルなどで中心的な人に連絡をとりましょう。そのネットワークで広がることが考えられます。

死亡通知は、葬儀のスケジュールなどこまかいことがすべて決まってから出しましょう。あやふやな状態で告知をしてあとから変更があると、また連絡をとらなければならず、二度手間になってしまいます。

家族葬にする場合は、会葬してもらいたいごく親しいかたに向けての死亡通知を出すと同時に、そのほかのかたへは会葬をお断りする旨の通知を出すといいでしょう。家族葬だからといって訃報を知らせないと、気を悪くする人がいるかもしれませんし、訃報を知らせるだけでは、会葬していいのじゃ、香典を届けていいのかなど迷わせてしまいます。ですので、訃報を知らせると同時に、会葬、香典、供花も辞退させていただく、という一文を明記すると親切です

新聞広告を出す場合

故人の社会的知名度が高かったり、公的要職についていたなどの場合は、新聞広告を出します。新聞社への対応は、葬儀社ではなく故人の家族が直接やりとりします。地域によっては、亡くなった

かた全員を訃報欄にのせるところもあるので、その場合は、葬儀社が新聞社に訃報を知らせることもあります。

故人を送る「湯灌」「納棺」

通夜の前に遺体を清潔にする

病院で亡くなると、看護師が遺体をふき清めて、きれいな状態にしてくれますが、それとは別に、通夜までに、故人とゆっくりお別れをする儀式として、「湯灌」「納棺の儀」を行うことがふえてきました。

湯灌とは、遺体をお風呂にいれることです。昔はたらいにお湯を入れて、故人の体をふいていましたが、いまは、自宅に巡回する介護入浴車のような「湯灌車」があり、浴槽を室内にセットして遺体の体と髪を洗い清めたあと、ドライヤーをかけ、死に装束への着替え、死に化粧をしてくれるサービスがあります。

湯灌をしない場合は、家族や親族が洗浄綿のような消毒された布で、顔や手など肌の出ている部分だけをふいて、湯灌のまね事を行うことが多いようです。

遺体を安置してから葬儀までの日にちがかかるときは、納棺師と呼ばれる人が、遺体の処理や、やわらかな表情づくり、死に化粧などをして、きれいな状態で納棺できるようにすることもあります。

愛用品もひつぎにおさめる

こうして、遺体を清潔な状態にしたら、ひつぎの中に遺体をおさめる「納棺の儀」に移ります。納棺の際は、遺体を数人で抱くようにしてひつぎにおさめますが、葬儀社だけでなく、家族や親族も一緒に手伝うことのほうが一般的です。

ひつぎにおさめたら、故人の愛用品やお花などを遺体の周りに入れて、ひつぎを飾ります。これらの儀式的な行いは、しっかりと故人とお別れするためのもの。故人への感謝の気持ちが生まれ、遺族の心の痛手を最小限に抑えることへとつながります。

喪服を着用するときのポイント

和装、洋装どちらでもOK

以前は、通夜のときから喪服を着ると、「不幸を予測していたのでは」と思われかねないため、遺族であっても通夜は黒を基調とした地味な服装にし、葬儀・告別式に正式な喪服を着たものでした。しかし、現在では参列者も喪服で訪れることから、遺族も通夜・葬儀・告別式を通して喪服を着用するようになりました。

喪服には和装、洋装があります。正式には和装ですが、最近は洋装が増えています。喪服を持っていない場合は、葬儀社で貸衣装も手配してくれるので相談を。その場合に参列する親戚にも確認をとり、必要な場合には一緒に申し込みましょう。

和装の場合、腰ひも、帯板、帯枕、肌じゅばん、足袋、ハンドバックなど小物も多いので、それらも貸し出しが可能か確認することも忘れずに。

高校生以下の遺族や親族は、学校の制服、もしくは黒やグレー、紺などの地味な色の洋服で参列します。

駆け付けてくれた親族への対応

親族との連絡は密に

家族の誰かが長い間病気を患ってるなど、死を覚悟しなければならないときは、ふだんから親族と連絡をとり合って、現状を伝えておくことが大事。事情を知っていれば、亡くなったときにすぐ駆けつけてくれることでしょう。親族が多い場合、喪主が一人ひとりに対応していると疲れてしまうので、喪主に近い親族でコミュニケーションをじょうずにとってくれる人に、親族との連絡や確認などの対応をお願いしましょう。

遠方から来てもらう場合は、宿泊先の確保が必要です。人数の制限はあるものの、葬儀会館などに宿泊できる場合もあるので、確認しましょう。会館がむずかしい場合は、ビジネスホテルなどを予約します。

親族の分の宿泊費、交通費まで支払うかについてはさまざまな考えがありますが、親族が支払ってくれた場合は、あとでていねいなお礼状をおくったり、香典返しを少し多めにしたりなどして、感謝の気持ちをあらわしましょう。

まとめ

これからの日本では、人が亡くなる場所が病院だけでなく、介護施設や自宅でみとられることも多くなってきます。故人の気持ちに寄り添い最後に会わせておきたい人に迅速に連絡をとりましょう。故人に対するいい思い出がふえるほど、大きなダメージを受けた遺族の心は癒され、後悔しない別れ方につながります。また、身内が危篤であることを連絡するときは、自分自身も気が動転している可能性があります。そんなときは、気を落ち着かせてから、内容を正確に伝えましょう