使いやすい民間の介護保険が近年増えている

介護保険といえば公的介護保険を指すのが一般的ですが、民間の生命保険会社などでも、同じ「介護保険」の名のもとに、加入して掛け金を払い続ければ一定の要介護状態になったときに保険金が受け取れる金融商品を発売しています。両者の違いは、公的介護保険が現物支給で、介護が必要になったらサービスが支給されるのに比べ、民間の介護保険は現金が支給されることです。

歳をとることによって増える支出に備える方法としては、将来確実にお金が入る個人年金保険を選ぶ方が多くいましたが、日銀の低金利政策の影響で約束した利回りを維持することが困難になり、個人年金保険は販売休止が相次ぎました。そして、2018年から、現役世代並みの所得がある人は、公的介護保険の自己負担が3割に引き上げられることも追い風になり、確定申告をする場合、民間介護保険の掛け金は控除の対象となることもあり、介護保険の加入が増えてきました。

受け取れる保険金は、介護一時金(有料老人ホームへの入居金やバリアフリーリフォームなどで使える)タイプと介護年金(一生涯または一定期間継続して受け取れる)タイプがあります。支払う条件は各社さまざまですが、自社で査定せず、要介護度を基準にする会社が増えたことと、軽度な要介護1~2にも対応する商品が増えたことが近年の特徴です。

代表的な民間の介護保険について

JA共済

  • 介護共済

加入年齢が40歳、掛金払込終了年齢が99歳の場合、男性5000円台、女性6000円台の月額掛金で、受取要件(要介護2以上に認定された場合など)に該当した場合、500万円の一時金が受け取れる。一時金は自宅の改修工事初期費用にも利用でき、年金方式で受け取ることも可。加入年齢40~75歳

太陽生命

  • 保険組曲Best

終身生活介護年金保険は要介護2以上で一生涯介護年金が受け取れる(一時金で受け取れるタイプもある)。さらに認知症治療保険は要介護1以上で最高500万円の一時金が受け取れる。いずれも他の保険と組み合わせ可能。加入年齢15~75歳

あんしん少額短期保険株式会社

  • みんなのキズナ介護一時金付定期保険

要介護1から保障が受けられる。1日あたり50円程度の保険料で、介護一時金や死亡保険金、傷害死亡保険金の保障などが受けられる。申し込みに必要なのは健康などについての告知だけで、医師の診断は不要。加入年齢40~84歳

朝日生命保険相互会社

  • あんしん介護

①年金タイプと②一時金タイプがあり、①は要介護1以上の認定で一生涯の年金を受け取れ、②は要介護3以上の認定で受け取ることができる。両方への加入も可能で、どちらも要介護1以上に認定されると保険料の払い込みは不要。加入年齢40~75歳

SOMPOひまわり生命

  • 介護一時金特約

医療保険に付ける「介護一時金特約」タイプ。要介護1以上と認定されたときなどに最大500万円の一時金が受け取れる。年金として分割受給も可。グループ会社の有料老人ホームを紹介してもらうサービスも受けられる。加入年齢15~75歳

*詳しく保険のことを知りたい場合は専門プロに相談しましょう。あらたびサポートデスクより専門プロにおつなぎ致します。

民間の介護保険の必要性について

民間の介護保険が必要な人

  1. 介護状態になった時に、家族負担を掛けたくない、または、お世話をしてくれる家族、身内が居ない人
  2. 預貯金やその他の資産、また年金を含む収入等では介護費用を補う事が難しい人
  3. 64歳以下で要介護状態になった時に介護費用の備えが出来ていない人(64歳以下は例外を除き公的介護保険を利用不可)

民間の介護保険が不要な人

  1. 預貯金やその他の資産、また年金を含む収入等では介護費用を十分に補うことが出来る人
  2. 介護状態になったときに、面倒をみてくれる家族・身内がいる人

まとめ

生命保険会社などが、介護保険に参入してきました。支払う条件は各社さまざまでしたが、軽度な要介護1~2にも対応する商品が増えてきています。まずは、公的保険制度の介護保険サービスを利用しながら、足りない部分を民間介護保険で補うほうがよいでしょう。