近年、終活という言葉が浸透し、生前整理を行う方が増えています。しかし、「何から始めていいか分からない」という方も多いですよね。不安なく老後を過ごせるように、今回の記事では生前整理のやり方やポイントをご紹介します。

生前整理とは

生前整理とは、元気なうちに自分で財産や私物の整理を行うことです。一般的に本人が亡くなった後、家族が遺品整理を行うことが多いですが、迷惑をかけたくない場合や、財産相続でもめないために生前整理を行う人が増えています。

生前整理では何をすればいい?

生前整理では一般的に、預貯金や証券、不動産などの財産をどう整理するか考えます。

子どもや孫などに財産を分配するケースがほとんどですが、特定の団体や自治体などに寄付を希望する場合も。事前の贈与や寄付が難しい場合は、遺言書を作成して意思を示しておきましょう

生前整理を行うタイミングは?

生前整理と聞くと、まだ早いのではないかと考える方も多いでしょう。しかし、生前整理においてもっとも重要なのは、元気に動けるうちに準備すること。長年にわたって住んでいる自宅の場合、さまざまなモノがあふれ、体力や気力が衰えてくると一人で整理するのはとても難しいです。

「まだ若いから大丈夫」「生前整理を考えるには早すぎる」と考えるのではなく、早い段階から取り組むほうが安心です。

引っ越しや定年退職など、人生における大きな節目で、少しずつ生前整理を行うのをおすすめします。

生前整理のメリット

生前整理を行うことは自分自身のためよりも、のこされた家族にとって大きなメリットになります。今回は2つのポイントをご紹介します。

家族の負担が減る

一般的に家族が亡くなった場合、その遺族が本人の遺品を整理します。

しかし、荷物が多いと処分する際の時間や費用が家族の大きな負担となります。最近では都心部と地方で離れて暮らしている家族も多く、高齢者の一人暮らし世帯も増加しています。大量の不用品を処分しきれずに、自宅の中に溜まったままになっているケースも。家族に負担をかけないためにも、少しずつ準備しておきたいですよね。

生前整理は家族の精神的な負担軽減にも役立ちます。生前整理の段階で、処分して良いものと遺品として残しておいてほしいものを分別しておきましょう。

相続争いを回避できる

遺品整理をしていると、それまで家族が把握していなかった財産が発覚することも。死後に財産が発覚すると、財産分与でトラブルに発展するケースも少なくありません。

トラブルを未然に防ぐために、事前に家族や親戚と相談し、納得できる最善の方法を決めておきたいですね。

生前整理が必要なもの

生前整理はどのようなものを整理をすれば良いのでしょうか。特に重要な3つのポイントをご紹介します。

家財道具や日用品

生前整理においては、長年使用していない不要なものと必要なものに分け、不要なものは極限まで廃棄しておきましょう。自宅が大量の物で溢れていると、死後に家族がやってきて遺品整理をする際に膨大な時間と労力を要してしまいます。

不要なものがなくなると、その後の暮らしがシンプルになり、心が前向きになるかもしれませんね。

思い出の品

物の整理をしていると、昔の思い出が詰まっているものが多く見つかります。家族からのプレゼントや、古い友人との思い出の品、自分が好きだった趣味に関するものまでさまざまです。他の人から見ると不用品に見えるものであっても、自分にとっては大切な思い出の品です。

もし自分が亡くなったとき、棺に入れてほしい大切な品は、明確に分かるよう一箇所にまとめておきましょう。

データ

生前整理をするうえでデジタルデータの整理は重要です。パソコンやスマートフォンなど、パスワードがかけられているものは開くことができません。もし重要な情報や、ネットバンキングなどで資産を管理している場合、端末にログインするための情報をメモなどでのこしておく必要があります。

また、SNSやメールアドレス、チャットツールなど、アカウント管理や削除の手続きを誰かに依頼しておきましょう。

まずはここから!生前整理5ステップ

生前整理をスムーズに行うために今回は5つのステップをご紹介します。

物を処分する

まずは自宅の物を「処分するもの」「必要なもの」「思い出の品」の3つに分別しましょう。分別に迷うものがあれば一旦保留にしておき、一通り分別を進めていきましょう。生前整理ではこのステップに多くの時間と体力を要します。少しずつ着実に進めていきましょう。

貴重品をまとめておく

「必要なもの」の中には、価値の高い貴重品もあるはずです。アクセサリーや家電製品、ブランド物の衣類などは財産の一部として分与することも可能なため、分かりやすくまとめておきましょう。また、この段階で銀行口座や証券類、不動産の登記簿などの財産も整理しておくのがおすすめです。

財産目録を制作する

貴重品および財産の全てが整理できたら、「財産目録」を作成します。財産目録とは、自分の財産がどの程度あるのかを記した書類のこと。財産一覧表のようなものなのですが、この「財産」とは必ずしも預貯金などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産についても明記しておく必要があります。

財産目録は法律で書式が定められているものではないため、分かりやすくまとめられていれば問題ありません。

エンディングノートを書く

エンディングノートとは、万が一の時に、家族や大切な人に伝えたいことを残しておくノートのこと。たとえば銀行口座の情報や保険、パソコンやスマートフォンのログイン情報、ローンや借金はもちろん、どのような葬儀にしたいか、お墓はどこに建てたいか、自分が亡くなったときに伝えてほしい古い友人の連絡先などをまとめておくといいでしょう。

家族や親しい友人、お世話になった方などへのメッセージや、生前整理における備忘録として活用することもできます。

遺言書を書く

遺産の相続方法の希望を遺言書に残しておきましょう。遺言書は法律に基づいて書き方が厳密に定められているため、弁護士や司法書士、行政書士などに相談して作成しましょう。

エンディングノートなどに財産分与のことが書かれていたとしても、遺言書がなければ法的に無効と判断されるため、特に注意が必要です。

遺言書の書き方についてはこちら

まとめ

生前整理は自分の死後、のこされた家族や親族の負担軽減につながります。老後の不安を減らし、家族を安心させるためにも、今のうちからしっかり準備しておくことが大切です。