家族構成や生活環境の変化など、さまざまな理由で仏壇を処分される方が増えています。
毎日のように手を合わせていた仏壇を処分することに後ろめたさを感じてしまいますが、引っ越しや遺品整理など仕方のない事情がありますよね。
今回の記事では先祖に配慮して仏壇を処分できるよう、処分方法と注意点をご紹介します。
仏壇処分の注意点
古くなった仏壇の処分方法がわからず、とまどってしまう方は多いです。仏壇の買い替えだけではなく、引っ越しやリフォーム、自宅の新築などにおいて仏壇を設置するスペースが確保できず、やむを得ず手放さなければならないとき、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
多くの人が疑問に感じる2つのポイントをご紹介します。
処分の際に供養は必要?
仏壇の処分を行う際には、ほとんどの人が供養を行っています。一般の家具のように粗大ごみとして出すことも可能ですが、毎日のように手を合わせてきた仏壇を粗大ごみとして出すのは抵抗を感じてしまうもの。そのため、菩提寺に供養を依頼したうえで専門の業者に引き取ってもらうのが一般的です。
仏壇は購入したときに「開眼供養」とよばれる法要を行い、これで初めて仏壇に故人の魂が宿るとされています。そのため、仏壇を処分する際にも故人の魂を抜いた状態にしなければなりません。これが仏壇を供養するために一番重要な準備です。
仏壇を購入した際に行われる開眼供養に対して、処分のために魂を抜くための供養は「閉眼供養」「魂抜き」「御霊抜き」などとよばれます。
処分に最適なタイミングは?
仏壇を処分するタイミングはご家庭の事情によってさまざまです。
たとえば、引っ越しなどで仏壇を設置できるスペースが確保できず、小さいサイズの仏壇に買い替えが必要になる場合。転勤などで急な引っ越しが決まってしまうと、荷造りの時間を十分に確保できないことが多いですよね。
閉眼供養はお寺の住職とスケジュール調整をするため、できるだけ早めに手配しておくことが重要です。新たに買い換える仏壇が決まっていなくても、ひとまず仏壇処分の手配を済ませておきたいです。
もし家族や親族が亡くなり、それに合わせて古い仏壇を買い換える場合には、葬儀や火葬など法要が落ち着いたタイミングで依頼しましょう。
仏壇処分の方法と費用相場
仏壇の閉眼供養が完了し、実際に処分を依頼する際にはどのような方法があるのでしょうか。代表的な4つの方法と、それぞれのメリット/デメリットについて、くわしくご紹介します。
仏具店に処分をお願いする
仏壇を購入した店舗が分かっている場合や、新たに仏壇を買い換える際には仏具店に処分を依頼するのが一般的な方法です。
メリット
仏具店に依頼する最大のメリットとしては、処分にかかる費用が明確で分かりやすいことです。費用は店舗ごとに異なりますが、大体40,000円~70,000円くらいです。買い替えと処分を同じお店に依頼すると、割り引きをしてくれるケースが多く、コスト面でのメリットは大きいです。
また、仏壇を入れ替えるときにスケジュール調整がしやすく、スムーズに手続きできるのもメリットです。処分方法について迷っている場合には仏具店に依頼するのがベストな方法といえるでしょう。
デメリット
仏具店によっては、古い仏壇の処分のみには対応できず、買い替え時のみ処分を受け付けるお店も。そのため、すでに新しい仏壇の入れ替えが決まっている場合、処分を受け入れてもらえない可能性があります。どうしても他に処分方法がない場合は個別に相談してみても良いですが、買い替え時以外のタイミングで仏具店に処分を依頼することはメリットが少ないといえるでしょう。
菩提寺に処分をお願いする
先祖代々の位牌を納め、日頃からお世話になっている菩提寺に仏壇の処分を依頼する方法。長年にわたって使用してきた古い仏壇の場合、安心して処分するために菩提寺に依頼するケースが多いです。
メリット
菩提寺に依頼する最大のメリットは、処分する仏壇の閉眼供養と新しい仏壇の開眼供養までを依頼できることです。菩提寺の住職に事前に相談しておけば、最適なタイミングで一連の手続きや日程を調整できます。
また、新しい仏壇の選び方など相談に乗ってもらえるため、安心感があります。
デメリット
これまで檀家として付き合いがなかった場合、処分を機にお寺との付き合いが始まっていくことになります。毎月のお勤めやお布施など、お金や時間の面でデメリットに感じてしまう人も。
専門業者に処分を依頼する
もし近所に仏具店がなく、気軽に依頼できる菩提寺もない場合は、仏壇処分を専門に扱う業者に依頼する方法があります。処分のみ対応している業者や、閉眼供養から一連の作業まで引き受けてくれる業者もあります。
メリット
専門業者に依頼する最大のメリットは、電話やインターネットから気軽に相談や日程調整ができる点です。特に近所に仏壇店がなかったり、これまでお世話になっていた菩提寺がない場合など、専門業者であれば気軽に依頼できます。
デメリット
閉眼供養から仏壇の運び出しまで一貫して依頼できる業者も多いですが、なかには処分のみを請け負っている業者もあるため注意しましょう。また、専門業者は出張料などで費用が高額になる傾向があります。仏具店への依頼など他の方法を検討したうえで、予算内に収まるかどうか注意しておきたいですね。
粗大ごみとして処分する
閉眼供養をしっかりと行えば、古い仏壇は自治体のルールに従って粗大ごみとして出すことも可能です。
メリット
粗大ごみとして処分する際の最大のメリットは、費用を安くおさえられることです。仏壇の大きさや形状、自治体によっても費用は異なりますが、多くの場合は数百円から数千円程度で処分してくれます。また、粗大ごみの回収依頼も自治体のルールに従えば問題なく、処分のスケジュール調整をしやすいです。
デメリット
閉眼供養を行っていたとしても、自治体によっては仏壇の処分に応じてくれないケースも。事前に粗大ごみの出し方や対象外となる品目を確認し、念のため自治体に直接問い合わせて確認しておくようにしましょう。また、仏壇を粗大ごみとして出すことは、近所の目もあり抵抗を感じる人も多いはず。閉眼供養を行っているとはいえ、他の粗大ごみと同様に扱われることに後ろめたさを感じる方もいるので、他の処分方法を優先的に検討してみましょう。
家に仏壇が置けない時は
そもそも家が狭く仏壇を設置できるスペースがない場合は「手元供養」といって、自宅の一角や棚などに手を合わせる場所を作る方が増えてきています。
仏壇は大きさや形状が本質ではなく、故人の魂とその家族が供養する気持ちが重要です。
最近では集合住宅などに設置できるような小さな仏壇セットや、インテリアに馴染むようデザインされた仏壇も。
自分自身の生活環境に合ったものを探してみてくださいね。
まとめ
きちんと注意点を守れば、仏壇は安心して処分することができます。
こちらの記事を参考に、故人に配慮しつつ、納得の行く方法で処分しましょう。