在宅介護にかかる費用はどのくらい?

生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査平成30年」によると、自宅での介護を始める際にかかる一時的な費用の平均は70万円、月額費用の平均は約7〜8万円と報告されています。在宅の場合の一時的費用の内訳は、リフォームする費用や介護用品の購入費用です。介護用品の購入、改修工事をする際には、一部給付を受けられます。(介護保険)訪問介護やヘルパーを利用したり、介護施設へ通うための費用が月額の費用として使われているようです。

過去3年間に介護経験のある方の調査によると、介護を行った期間(現在介護を行っている人については、現在までの経過期間)については、平均4年7カ月。また、4年以上介護した割合も多く4割を超えています。下記の要因で費用もケースにより違いが現れます。

引用元:<生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」/平成30年度> 

介護される方の状態で費用は異なる

要支援や要介護のレベルに応じて、かかる費用が違ってきます。在宅介護にかかる費用の大半は、介護保険による介護サービス利用額の自己負担分です。自己負担分は、全額の1割負担(利用者の所得に応じて変動)です。自己負担分の金額は介護度に比例して上がっていく可能性が高いのです。介護度によって介護保険サービスの限度額が定められており、限度を超えた場合は全額負担となります。介護保険の利用限度額を超えたサービスを独自に給付(上乗せサービス)する市区町村もありますので、調べておきましょう。なお、利用限度額の自己負担が一定の金額を超えた場合、所得区分に応じて払い戻しが受けられるしくみがあります。

居宅介護サービスを利用した場合、一番軽い要支援1の場合は、1割負担の5,032円となっていますが、一番重い要介護5の場合は、36,217円が限度額となっています。

介護費用が家計を圧迫する

介護生活が長引くと、介護費用の負担がボディーブローのように家計を圧迫します。介護度が上がり、介護保険施設に入所するようになると、全額自己負担の居住費(滞在費)や食費などがさらに家計を圧迫します。貯蓄を切り崩して生活している平均的な高齢者世帯にとっては、深刻です。介護保険を軽減するさまざまな制度があるので制度を知り、介護費用を節約することが大切です。

老人ホームへの入居と、在宅介護。費用の違いはどのくらい?

ケースによりさまざまですので、目安として下記を参照ください。

在宅か、施設か、どちらを選択したらいいの?

介護が必要となった場合には、家族としては、自宅介護にするか、施設介護にするかを考えると大きな悩みとなります。そして、それぞれに良し悪しがあります。

自宅介護と施設介護の比較

介護する側の肉体的負担が大きい在宅介護

在宅介護の一番のメリットは、環境をかえることなく、住み慣れた自宅で生活が続けられることです。家族はもちろん、近所の知り合いや友人との関係もそのままで、精神的な安定をキープでき、介護される人も介護する側もリラックスして過ごすことが出来ます。

デメリットは、在宅介護で、ホームヘルパー等のプロを利用したとしても、大半の時間を家族による見守りや介助が不可欠になります。そのため、肉体的負担もかかり、お互いストレスを感じやすくなります。
 費用面を考えると、要介護度や医療依存度が高くなければ、在宅介護は、居住費などが必要な施設介護よりも金額は抑えることができます。しかし、段差をなくすなどのバリアフリーや手すりを設置したり等の改修費用が必要になります。

施設介護のメリットは安心感

施設介護の一番のメリットは「安心感」です。

介護プロによるケアが、自宅に比べると長時間受けられることができます。また、急な状態が急変し他場合等の対応の早さは、施設介護の大きなメリットです。さまざまな施設でのイベントやアクティビティ、リハビリテーション等、利用者様への生活を豊かにする工夫をしている施設では、シニアに多くみえる引きこもりを防止し社会性を保った暮らしが可能です。介護する側の精神的・肉体的な負担が少ないため、ストレス軽減になります。

面会、定期的なコンタクトを欠かさなければ、孤独感を感じることも少なくすることもできます。ただし、介護施設では、みんなと過ごす場所であり一定のルールを守ることが必要です。本人の性格にもよりますが、高齢者にとっては、施設内で新たな人間関係とコミュニケーションを築くことは、ストレスになる場合があります。そういう意味では、老人ホームに入るなら、自由度が高い手厚いケアが期待できる介護付き有料老人ホームがおすすめですが、これらの施設は、希望で入れるというわけではなく、経済的な余裕がないと難しくなります。

このように、後になってから必要に迫られて介護の選択を考えていては、事前に元気なうちから先のことをよく話し合い検討し、先を見据えたプランを立てておくことが重要です。

まとめ

介護が必要になった場合、在宅で介護を受けるか、施設へ住み替えるかは、多くの家族の課題だと思います。そのときに重要なのは「在宅介護=安い」「施設介護=高い」と決めつけないことです。介護費用はどちらが少なく済んだのかは、それぞれの方の介護が終わった時点で判明するものです。介護はいつ終わるかわかりません。前もって費用の準備をしておくことが必要です。