日本で飼われているペットの数は、毎年増え続けており、約1,845万頭と推計されています(平成29年 一般社団法人ペットフード協会調べ)
そしてそのほとんどが、室内で飼われており人間とほぼ同様の生活を送っているのです。そして、その影響を受けペット同伴のレストラン・カフェや旅館・ホテルなども増えており人間とペットが一緒にすごせる家以外の場所も増えてきました。
ペットは自分の子供と同じであり、ペットは家族の一員なのです。
ですから、ペットが死に、自分も亡くなった時には一緒のお墓に入りたいと願いを持つ人も多いでしょう。ペットと一緒にお墓に入るのはいいのかどうかを説明します。
人間の墓にペットを入れていいのか
人間のお墓とペットは一緒のお墓にしてはいけないと昔きいたことがありませんか?実際、人間のお墓にペットを埋葬していいのでしょうか?
犬の骨などを人間の墓に入るのがダメと言われる理由
ペットを人間と同じお墓に埋葬することはNGという人は意外に多いようです。
一族の墓の場合、親戚にそのような考えの人が1人でもいた場合には、まず、自分のお墓にペットを埋葬することは難しいといえるでしょう。
なぜペットを一緒に埋葬することがNGなのかというと、はっきりとした理由はないのですが、このような理由で一般的に言われています。
宗教上の理由
日本では仏教での考え方が根付いており、仏教には六道輪廻(ろくどうりんね)という考え方があります。六道輪廻(ろくどうりんね)によると獣・人間以外の動物は「畜生(ちくしょう)」と呼ばれ、人間よりも卑しい存在とされています。そして仏教では輪廻転生(ろくどうりんね)が信じられ、悪い行いをすると次の生まれ変わりには「畜生(ちくしょう)」になると言われています。
そのような理由により動物であるペットとお墓に入ることは好ましくないとされます。
人間の方が動物より上であると考える人や人間と動物が一緒に埋葬されることを拒む心理が生まれているようです。
ペットと一緒にお墓に入るにはどうすればいい?
法的にペットとの共葬は禁止されていない
実際、法律では人間とペットが一緒のお墓に埋葬することについて禁止しておりません。
人間の葬儀、埋葬はすべて「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)で規定されています。
墓埋法の規定により、お寺に墓地を運営する許可や、人が亡くなった時に役所に届け出をするのです。
実はこの墓埋法には、人間のお墓に動物を葬ってはいけないという規定はないのです。
これは海などに遺骨を撒く散骨(海洋散骨)が墓埋法で禁止されていないこと同じことになります。
ということは、散骨が墓地埋葬法で禁止されず実施されているのと同様に、墓埋法で禁止されていないことを理由に、ペットを人間と同じお墓に埋葬しても法的にはOKということです。
注意として、ほかのペットの埋葬の記事などを読んでいると、ペットの遺骨は廃棄物扱いだとしているものもありますが、それも違います。
ペットの遺骨が廃棄物だとすると、遺骨は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で規制され、自治体が認めた場所にしか廃棄できないよいうことになります。
お墓は「廃棄物処理場」ではないので、もしもペットのお墓が廃棄物であるなら、法的にペットの遺骨は人間のお墓に埋葬できないことになるのです。
しかし平成16年10月29日の国会での答弁により、ペットの遺骨は「廃棄物」には当たらず、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」では規制されないと明確にされたことで、墓地埋葬法でも廃棄物の処理及び清掃に関する法律でも、ペットの遺骨と人間を一緒に埋葬することに関しては、まったく禁止事項がないとなりました。
霊園・墓地の規約で禁止されていることもある
しかし法的にはOKでも、墓地や霊園の規約の中で、お墓にペットと一緒に遺骨を埋葬してはいけないと規定されている場合もあります。
この場合は、規約を守らなければなりません。いくら法的にOKでもペットと一緒にお墓に埋葬されることはできません。
どうしても一緒にお墓にはいりたくて、黙って一緒に埋葬してそのことが後でわかってしまうと、どうなるでしょう?
契約違反とういうことで、永代使用契約を解除され、その霊園から出ていかなければならないことにもつながります。
契約は守るようにしましょう。
霊園・墓地の規約でOKのところ
墓地や霊園の規約でペットと一緒に埋葬することを禁止されているケースがあるといいましたが、霊園や墓地の規約でOKなところもあります。ペットと一緒に埋葬されることをOKにしている霊園を探すことが一番良い方法です。
ペットを家族と同じだと思っている方が多く、そのトレンドを踏まえて、飼い主とペットを同じお墓に埋葬してもよい、というように規約にしている墓地や霊園も全国的に増えてきました。
ペットと一緒に入れるお墓には何があるの?
では具体的に、ペットと一緒に入れるお墓にはなにがあるのでしょうか。
民営霊園
ペットと一緒に入れるお墓を探すのであれば、まずは民営霊園が良いでしょう。
まず、公営霊園ではペットとの共葬ができないということを覚えておきましょう。
寺院墓地の場合は宗教的な考えからペットと人間を一緒に埋葬することをNGとしていることが多いです。
しかし、宗教色のない民営霊園であればペットとの共葬ができるところも探しやすくなるということです。
霊園全体がペットOKの場合と、一部区画をペットOKとする場合があり、
普通の墓石を建てる家墓(いえはか)に人間とペットを一緒に埋葬されます。
ごく一部のお寺でもペットとの共に受付けていることもあります。また、一般のお墓よりも樹木葬や納骨堂の場合はペットとの共葬がOKの場合が多いです。
ペットと一緒に埋葬可能な永代供養墓
法要を霊園にすべて委託できる「永代供養墓」にペットも一緒に埋葬できるようにしているケースです。
「一族墓」の場合、親族に1人でもペットと一緒に埋葬されることをを拒む人がいると、ペットと一緒に埋葬されることは不可能となります。しかし一般的な永代供養墓は、個人、夫婦、家族だけを埋葬するものなので、埋葬される人の同意が得やすいのです。
樹木葬
永代供養墓の一種類に最近人気の樹木葬があります。
樹木葬であれば、よりペットと一緒に埋葬されることは可能になるでしょう。
樹木葬とは、墓石を建てずに墓標としてシンボルツリーを植え、その根元に遺骨を埋葬する方法であり、最近はとても人気がある一つです。
樹木葬は、ほぼ100%個人墓なので、ペットを一緒に埋葬することに誰も拒否する人がいません。
樹木葬霊園の中には、人間とペットを一緒に埋葬するとことがNGではなが場所によっては、人間用の樹木葬墓地とペット用の樹木葬墓地を隣接させているところもあります。
自分がペットと一緒に埋葬されることを望んでも、それを拒否する家族がいた場合には。このような樹木葬霊園を選択する方法もあります。
一緒に埋葬しない場合のペットの供養方法は?
事情により、どうしてもペットと自分を一緒のお墓に埋葬できない場合は、以下のような方法もあります。
ペット専用霊園、納骨堂
1番多い方法はペット専用の霊園や納骨堂を利用することが良いでしょう。自分と一緒に埋葬することはできなくても、ペット専用の霊園や納骨堂は、ペットを人間と同様に扱って、火葬、納骨、供養を行ってくれます。家族として大切なペットを思う気持ちに寄り添ってくれます。自分と一緒にお墓に入れなくても、ペットを自分と同じように供養してくれるお墓であれば安心ですね。
散骨
散骨という方法もあります。
遺骨をパウダー状にして、海や山などに撒いて、自然の中に還す埋葬方法です。人間の中でもこの埋葬方法を選択する人が近年増えており、海洋散骨などは人気のようです。
自分が亡くなった場合に散骨を選択する前提で、ペットも散骨すれば、広い意味ですが、同じ自然の中に一緒に埋葬されたということになります。
ペットの遺骨を散骨するには、散骨の専門業者に頼むことが良いでしょう。
散骨専門業者は、通常は人間の遺骨を散骨していますが、最近では、ペットの散骨も受け入れているところが増えているので相談してみましょう。
手元供養
自宅や自分の部屋にそのまま置いて供養する方法、これを手元供養と言います。
手元供養は遺骨を骨壺の中に入れてそのまま自分の家の棚に安置するというものです。骨壺は最近ではいろいろな種類があり、インテリアのようなものなどが多く見られます。
もう少し供養の気持ちを出したいという場合は、ペット用で最近は仏壇もお部屋に置きやすいコンパクトなものが多く、そこに遺骨を安置したり、棚においても違和感がないようなおしゃれなペット用骨壺を利用したりする方法もあります。
また遺骨をアクセサリーに加工して常に身に着けたりする遺骨ジュエリーや、キーホルダー、オブジェにして遺骨とわからない形で自室に置いたりすることも可能です。大切な家族としてのペットの手元供養は増えているので、ネットなどで調べてみるのもいいでしょう。
土葬
ペットの埋葬方法として、ひと昔まえまで一般的だったのが土葬です。ペットの遺骨は墓地埋葬法の規制対象外なので、自宅の庭に土葬することが可能です。
ただし、自宅の庭以外の公共地や他人の私有地に埋葬することは法律違反です。
土葬手順
- 穴を掘る
- タオルを下に敷く
- ペットを安置する
- タオルを被せる
- 土を上から被せていく
動物が掘り起こさないよう、穴を深く掘ろう。
埋葬してから時間が経過すると、腐敗が進み独特の腐敗臭が出てきます。
腐敗したときの臭いを嗅ぎつけて、カラスやほかの動物が穴を掘り返すこともあるようです。安らかにペットが眠れるようにするために、穴の深さは最低1m確保するようにしましょう。
タオルを敷いてペットを安置しよう。
穴にペットを安置するときには必ず自然素材の、土に還る素材のタオルを敷きましょう。また、ペットの上にもタオルを被せたほうがよいでしょう。
埋める土は高く盛り上がった形にしよう。
土は徐々に下へ下へと下がっていきます。これは、たとえ埋葬する際に土を固くたたいて押し固めても同じこと。腐敗が進んでいくので下がっていくので。そのため、ご遺体の上に盛る土はある程度周りよりも高くしておきましょう。
大きな石を埋土の上に置きましょう。
ペットを埋葬し終わったら、動物に掘り返されないために大きな石をその穴の上に置くようしましょう。この石に名前やメッセージを書いて墓石の代わりとして使用するのもよいでしょう。
石灰を利用すると有害物質の発生が抑えられます。
ペットを埋葬するときには石灰を一緒に入れておくと、腐敗時に発生する有害物質を抑えることができます。石灰には殺菌作用があり有機物の分解を促す効果もあります。
現在はペット火葬が主流
現在ではペットが亡くなったときは火葬するのが主流です。ペットが昔以上に家族の一員として認識されているようになってきた現在、「人間と同じような形で見送りたい」と土葬よりも火葬を選ぶ人が増えています。
まとめ
ペットは家族、自分の子供と一緒だと考える人は非常に多いです。ペットが死んだら、自分の家族として一緒に埋葬したり、懇ろ(ねんごろ)に葬ったりしたいという場合も多いでしょう。家族間で問題にならない方法で愛するペットの遺骨を埋葬するようにしましょう。